青森県に多くのインバウンド客が訪れる理由と課題
以前までは外国人観光客が少なかった青森県。
しかし、ここ数年でインバウンド客(訪日外国人旅行)が急激に増加しています。
実際に青森県はインバウンドが好調で、2017年・2018年と東北1位になっているし、全国的に見てもトップクラスの伸び率を誇っています。
・・・というのは、コロナ前の話。
新型コロナ流行後はインバウンド客が激減し、青森県の観光は大打撃を受けています。
しかし諦めるのはまだ早い。
入国規制が緩和され、これから多くのインバウンド需要が見込まれます。
コロナ前同様、外国人観光客は青森県を訪れてくれるのか?
考えてみます。
なぜ青森県に多くのインバウンド客が訪れたのか?
コロナ前、青森県はインバウンド客に人気の観光地でした。
2018年の外国人宿泊者数が過去最高となり、7年前と比較して384%の増加だったそうです。
その理由は【青森空港の国際線就航】や【青森港へのクルーズ船寄港】が挙げられますが、一番の理由は『立体観光』というインバウンド戦略だったのではないでしょうか。
立体観光とは?
青森県が提唱するインバウンド戦略『立体観光』
まずは立体観光とは何?ってことを説明します。
青森県にある新幹線・フェリー・空港を利用し、インバウンドが好調の北海道から観光客を引っ張ろうという作戦。
一見、意地汚いような作戦に見えますが、北海道の観光客を奪うというわけではなく、「北海道に行ったついでに青森にもおいでよ」「青森から北海道に行ってよ」という考え方です。
魅力度ランキング1位に輝くほどの北海道は国内外で人気の観光地ですが、青森県はその人気の「北海道に近い」という地理的メリットを最大限に生かしました。

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これによって青森と北海道が互いにウィンウィンの関係を作ることができ、青森県としても多くのインバウンド客が訪れるきっかけを作ることに成功しました。
これにより東北トップクラスの人気を誇る観光県となり、2017年の外国人宿泊客数は宮城を抜いて東北1位になっている他、訪日外国人(インバウンド)の伸び率は全国1位に輝いています。
しかしそれはコロナ禍前の話。
好調だった青森県のインバウンドでしたが、新型コロナウイルス流行後に大打撃を受けました。
青森空港の国際線も休止となり、クルーズ船の寄港も一度皆無に・・・。
インバウンド需要を期待した政策が、コロナで裏目に出る形となってしまいました。
これからの青森県へのインバウンド需要
日本政府は2022年10月11日から入国者数の上限を撤廃し、個人旅行も解禁すると発表しました。
予想では訪日外国人が右肩上がりとなり、2025年にはコロナ前の水準まで戻るとされています。
では青森県はどうか。
日本政策投資銀行では【アジア8地域と欧米豪4地域を対象とした訪日外国人旅行客の意向調査】を2021年に行っています。
それによると、
1位:福島 32.4%
2位:仙台・松島 21.4%
3位:青森 19.8%
となっており、【訪問意欲】では、
1位:青森 6.3%
2位:福島 5.6%
3位:仙台・松島 5.0%
と東北1位となっています。
特に【台湾】や【香港】での人気が高く、
台湾:57.6%
香港:37.1%
青森県への訪問意欲
台湾:20.9%
香港:11.3%
と【台湾】における認知度では東北地方唯一の50%越え。

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また、2022年にアジア・インタラクション・サポートが実施したアンケート【訪日旅行に関する意向調査】を元にした【台湾人に人気の都道府県】では、青森県が全国9位と大健闘しています。
アンケートからも分かる通り、青森県を訪れようと思っている外国人(特に台湾や香港)も多く、【青森空港の国際線】や【クルーズ船の寄港】がコロナ以前に戻るようなら、インバウンド需要が見込めることでしょう。
課題も・・・
もちろん課題もあります。
インバウンド好調だった青森県は、観光・飲食業界を中心に新型コロナで大打撃を受けました。
【宿泊施設不足】や廃業施設による【景観の悪化】が懸念され、さらには急激にインバウンド客が増加することでの【人材不足】という課題も。
また、コロナが完全に終息したわけではないので、【インバウンドに頼らない観光戦略】も必要になってくると思います。
最後に
2019年までは右肩上がりだった青森県へのインバウンド。
コロナでゼロになってしまったわけですが、青森県の縄文遺跡群が世界遺産になりましたし、これから再びインバウンド需要が見込まれます。
青森県にとって【観光】は基幹産業でもあるので、多くの観光地から青森県を選んでくれた国内外の観光客を、裏切らないような受け入れ態勢を整えていく必要があると思います。
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