青森市のコンパクトシティ政策が失敗した理由【考え方は間違いではない】

2020年5月21日

 

みなさん、コンパクトシティという言葉を聞いたことがありますか?

コンパクトシティとは郊外への開発を抑制し、中心市街地に様々な機能を集めて街をコンパクトにしようという都市政策です。

人口増加と共に市街地が拡大することは仕方ありませんが、市街地が広がるという事は道路などの整備・管理費用が増えてしまいます。

そして市街地が拡大したのに人口増加が止まってしまうと税収だけではカバーできなくなります。

そこで街をコンパクトにすることで都市整備にかかる費用も抑えられるだけでなく、病院や店などへの移動も楽になります。

このコンパクトシティという政策は郊外型大型店進出の影響で市街地が広がり、中心街が大きなダメージを受けた地方都市で注目されました。

先進例として青森市と富山市のコンパクトシティ政策が注目されたのですが、その中で青森市のコンパクトシティ政策は失敗と言われたのです。

なぜ青森市のコンパクトシティ政策は失敗したのか?

そして本当にそれは失敗だったのか?を市民目線で書いていきたいと思います。




 

青森市のコンパクトシティ政策が失敗した理由

青森市がコンパクトシティ政策に乗り出したのは、他と同様で人口増加や郊外型大型店による市街地の拡大でした。

それにプラスして青森市は世界一の豪雪都市とも言われ、冬場の除雪費というのは10億~30億とかなりの金額がかかっており、そこで中心街の復活冬季の経費削減を目標としたコンパクトシティ政策を打ち出したのです。

既存の市街地を3つのエリア(中心地:インナー、中心地近隣:ミッド、郊外:アウター)に分け、それ以上の郊外開発を抑制し、中央エリアへの人を呼び寄せると考えです。

考え方は良かったんです。

しかし問題はその方法でした。

 

命運をかけて作ったアウガの失敗

フェスティバルシティ:アウガ

中心市街地への人を呼び込む対策として、青森市主導で185億という大金をかけてファッションビル:アウガを建設しました。

アウガの概要は地下に市場、中層階はショッピングエリア、上層階は公共施設というもの。

開業当時は若者を中心にかなりの盛り上がり、地下が海鮮市場という意外性もあり、コンパクトシティ政策の先駆けとして全国から多くの注目を浴びたのです。

しかしながら人口減少に加え、郊外店がさらに魅力的になったり、ネットの普及など色々な要因もあってその後の来客数は右肩下がり。

しかも青森市中心街には大学・高校などの学校施設が少ないので、ターゲットである若者の来客もまばら・・・。

赤字が続いていたアウガは2017年に閉店し、現在は市役所機能が入った施設に変わってしまったのです。

確かにアウガの開業により青森駅前の雰囲気は一変し、マンションの増加、若者の往来も増え、県庁所在地らしい中心街に生まれ変わりました。

ですが郊外店も多いのに人口30万人の都市にファッションビルは必要か?ということと、通販・ネットで服が買えるような時代になってきている中でそもそも作る必要があったの?って事です。

「中心街に魅力的な集客施設」という考え方での開店だったとは思いますが、少し考え方が浅はかでリサーチ不足だったのかもしれません。※そこが当時の役所クオリティ

某百貨店の出店がなくなったのも原因ですが、行政主導の施設というのはやっぱりダメですね。

 

どうあがいても郊外の方が魅力的だった

青森市のコンパクトシティ政策では、郊外に住んでいる人達に中心街に住んでもらおうという計画でした。

しかしよく考えてみてください。

郊外に家も土地も買った人がそれを手放して、中心街に住むと思いますか?

都心が魅力的な大都市ならまだしも、地方都市は郊外の方が魅力的です。

道路や歩道が広く、大型店も多いし、高層階の建物も少ないので日当たりが良い。

学校も広々しているし、ごちゃごちゃしていないので過ごしやすいですよね?

中には市内近郊の山奥に住みたい人もいるかもしれません。

まぁ当時の青森市の郊外は田畑が広がっていたので今と比べるのもナンセンスですが、郊外が開発されてからはもう手遅れで、ファッションビル一つでわざわざ中心街に住もうと思う人もいないはずです。

このコンパクトシティという政策は、郊外開発が進んでしまった既存都市で行うのは難しいのかもしれませんね。※成功とされている富山市も100%上手く行ったとは言えない

街づくりシミュレーションゲームみたいに何もかもゼロからなら簡単かもしれませんが・・・。

 

青森のコンパクトシティ政策は失敗だったのか?

正直に言えば失敗です。

ですが考え方を変えれば、結果的には「成功」だったのかもしれません。

このコンパクトシティ政策によって、青森市内の大型商業施設(SC)の出店は抑えられました。

そのおかげもあって現在の青森市中心街は、前方が海で中心街に大学などがないにも関わらず、そこまでひどい状況ではないようにも見えます。※同規模他都市に比べ

アウガ閉店後もそこまで人の往来の減少はあまり感じられません。※むしろ市役所移転で増えたとも言われています

確かに空き店舗はありますが、民間主導で様々な施設の建設されたり、2019年現在も複数計画されています。

中三再開発・・地上16階複合施設
中新町山手街区まちづくり協議会:13階建てホテル・18階建てマンション
JR青森駅改築
NTT関連会社による旧千葉室内の利用
など

これは中心街の魅力を少なからず引き出したアウガの功績であり、さらには閉店したアウガに市役所の一部が移転した事によるものだと思います。

結果オーライと言う所でしょうか?

しかしコンパクトシティ政策のもう一つの目標である除雪費の削減には至っていません。

そりゃそうです、数軒しかない集落・道路であっても除雪はしないといけませんから。

全ての人を移動させない限り、負担というのは減りません。

これは世代交代が起きる数十年単位で考えなければならない問題で、5年10年で解決できることではないのです。

毎年人口が減少しているので税収は減り続け、このままだとさらに市民負担が増えてしまいます。

なので継続して市街地拡大を抑制していくべきではあると思います。



コンパクトシティ政策は間違いではない

コンパクトシティ政策というのは間違った事ではありません。

むしろ少子高齢化が進む日本で全市町村に推奨するべき政策です。

街をコンパクトにすることでインフラ整備にかかる経費を最小限に抑えることができ、高齢化が進んだとしても医療機関への移動も楽になるし、地域コミュニティも充実します。

脱車社会も進むので、渋滞や事故も減るかもしれません。

もちろんデメリットも存在はしますが、無駄な市街地の多い今の日本はコンパクトシティに向けて動いた方がいいのかもしれません。

そして頭の固い人だけを集めて都市計画を練るのではなく、民間企業や市民など官民一体となって話し合い決めて行くべきです。

この青森市におけるコンパクトシティの失敗は、他都市・他地域にとってもよい教科書になったのではないかと思います。




UOTO

UOTO(うおと)青森県在住の31歳。

【青森のブロガー】を目標に、大好きな青森県で頑張っています。
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