「中枢中核都市」の選定で青森県からの人口流失が止まるのか？

2018年12月8日2020年5月31日

 

日本政府が12月6日、東京一極集中の改善に向けた報告書をまとめたそうです。

東京圏（東京・神奈川・千葉・埼玉）以外の政令指定都市及び中核市などから、【中枢中核都市】と呼ばれる都市を選定し、地域の人口流失を防ぐダム的な拠点として発展させるという内容です。

年内に国内の約80都市が選ばれる予定で、近隣市町村の経済・文化・教育を引っ張っていく拠点としての役割が与えられ、対象都市には交付金の配分や街づくりの支援が行われます。

ここ青森県からも選ばれるとは思いますが、80都市という大きい枠があるので、県内からは青森市と八戸市が選ばれるのでは？と思っています。

追記：12月18日、青森県からは青森市と八戸市が選ばれました。

東京一極集中という問題は人口減少が続く地方の重要課題であり、青森県は特に若年層の人口流出が大きいので、中枢中核都市指定による拠点都市の発展によりこの問題が改善されることが期待されています。

 

中枢中核都市選定で青森県の人口流失が止まる！？

私の意見として人口流失は「止まらない」と思います。
これには2点ほど理由があり、まず1点は【教育機関の少なさ】というのがあります。

青森県では昔から多くの働き盛りの人材が仕事を求めて首都圏に流れていきました。

これは時代が変わった今でも続いており、仕事以外でも進学などで「高校卒業したら都会に行く」という一つの流れになってしまっています。
都会への憧れはもちろんのこと、教育機関が少ない事も原因です。

いくら中枢中核都市に選定されたからといって、大学や専門学校などの教育機関の新設は人口減少の続く現在は厳しいはずです。※青森県の場合、大学の多いのは中核市ではない弘前市という理由もある

なので多くの人が進学を希望する今では若年層の流失は止まらないと思われます。

もう一つの理由は、【原因は首都圏だけではない】ということです。
首都圏への一極集中ばかり注目を浴びていますが、青森県など東北地方の都市の人口流失先として首都圏以外にも宮城県仙台市や北海道などがあるんです。

平成25年の総務省統計によると、
青森県の転出先として一番多いのは東京都（18％）ですが、2位に宮城県（14％）が入っています。
そして3位神奈川県（10％）、4位岩手県（8.5％）、5位北海道（7.5％）となっています。

何が言いたいかというと、今回の中枢中核都市計画というのは首都圏以外の都市から選定されるという事ですが、2番目に転出先として挙がっている宮城県の仙台市や、5位の北海道の函館市や札幌市も選定される可能性が高いという事です。※4位の岩手県からは多くの転入もあるので除外します。

つまりそれらの都市が中枢中核都市になり経済・教育が強化されることにより、さらに青森県から人口流失する可能性もあるって事です。

逆に地域が衰退する危険性もあり、この中枢中核都市選定により東京一極集中が是正されたとしても、地方都市の衰退を防ぐというのは難しいのではとも思います。

 

 

青森県から人口流失を止めるために

青森県の人口流失というのは色々な要因が重なり起きています。
なので単に「仕事が無い」だけではないのです。

だからこそ対策というのが難しく、全国でもトップクラスの転出超過となっています。

私は人口流失というのは止まらないと思っています。
これは青森だけでなく全国の県に言えることで、人口流失には少子高齢化なども絡んできます。

子供が減り、高齢者が増える→地域に活気がなくなる→仕事が減る・若者が嫌気をさす→都会に流れる→人が減る→子供が減る→・・・・・・

まさに負のループです。

しかしやり方次第では人口流失を抑えることは出来ると思います。

中枢中核都市選定で拠点となる都市をハッキリ決め、その都市を重点的に発展させることで、人の流れが良い方向に変わる可能性もあります。

例えば八戸市が選定された場合、経済圏は岩手県北にも及ぶので多くの流入が期待できますし、仮に弘前市も選定された場合は秋田県北からも流入が期待できます。
そして青森市がその中心拠点となり経済を引っ張っていくという形ができれば、人口流失を抑えることができるはずです。※これには建設中の上北縦貫道路の早期完成が必要になってきますが。

追記：12月18日　青森県からは青森市と八戸市が選定されました。

正直そんな口で説明できるような簡単な事ではないし、中枢中核都市で劇的に変わることもないとは思いますが、一県民として期待するしかありません。

ですが今後人口減少が続く中で地域の核となる拠点都市が必ず必要にはなると思うので、今後の選定される都市に注目です。