青森の伝統工芸である津軽塗とは?【特徴・種類】
みなさん、青森県の伝統工芸である【津軽塗】ってご存知でしょうか?
たぶん模様を見て「どっかで見たことある気が・・」って人も中にはいるかもしれませんが、津軽塗とは江戸時代から300年続いている手法で作られた青森県津軽地方の伝統工芸です。
青森県のお土産としても大切な人への贈答品としてもオススメで、津軽塗を施した箸やお椀などは外国人観光客にも人気です。
そんな青森が誇る伝統工芸:津軽塗について書いていきたいと思います。
※津軽塗というと手法になってしまうので津軽漆器という言い方の方が正解なのかもしれませんが、この記事では【津軽塗】で統一したいと思います。
青森の伝統工芸:津軽塗とは?
津軽塗とは、青森県津軽地方で作られる漆を使った伝統漆器の総称の事です。
その歴史は江戸時代にも上りますが、弘前藩第4代藩主の津軽信政が津軽藩の産業育成のため全国から職人を集め、その時に召し抱えた塗師が刀の鞘などに漆塗りを始めたのが最初とされ、その後様々な物に漆塗りを施して他の藩や幕府、朝廷・公家などに献上していった事でその価値が高まっていきました。
最初は津軽塗と言う呼び方ではなく、明治6年のウィーン万国博覧会で初めて「津軽塗」という名を使ったそうです。
2017年には津軽塗が漆芸分野としては輪島塗に次ぐ国内2例目となる「国の重要無形文化財」に指定されました。
津軽塗が施された商品は外国人観光客にも人気で、最近ではテレビ番組にも紹介されたこともあり、さらに注目を集めている青森が誇る伝統工芸なのです。
津軽の特徴
津軽塗の特徴としては、漆を数十回塗り重ねて、磨き・研磨などを施した「研ぎ出し変わり塗」という手法で作られていることです。
この塗り方にはたくさんの作業工程があるために完成まで約2か月以上かかるそうで、かなりの時間と手間暇かけて作られています。
その手間暇があってこそ独特な美しい漆模様と耐久性が生まれ、多くの高級店などにも使用されていたりします。

アス・パム男
津軽塗の種類
藩政時代には多くの塗り方があったそうですが、現在残る津軽塗には4つの種類があります。
それぞれに特徴があり、見た目も違います。
唐塗(からぬり)
こちらの唐塗は、仕掛けベラと呼ばれるヘラを使い、卵白を加えた粘度のある黒漆で斑点模様を付け、その上に色漆を塗り重ねて砥石や炭で研いでいきます。
するとこのような色漆の断層模様が現れます。
全部で48工程にも及び、完成までには約2か月以上かかると言われています。
よく見る津軽塗はだいたいこんな模様のイメージがありますが、津軽塗の中で最も生産されています。
七々子塗(ななこぬり)
七ヶ子塗は、魚の卵(ななこ)を思わせるような江戸小紋風な塗で、漆を塗った直後に菜種を蒔き、乾いた後に菜種を剥いでこのような輪っか状の突起を研ぎ出します。
七ヶ子塗は津軽独自の技法というよりは、藩政時代の他の藩との交易によって伝えられたと言われています。
高級感漂う見た目が特徴的になりますが、この模様が苦手という人もいるかもしれませんね。
紋紗塗(もんしゃぬり)
紋紗塗は、筆に付けた黒漆で絵や紋様を高肉に盛り上げて描いた直後に、もみ殻の炭粉を蒔き付けて乾燥させ、その後に研ぎだすことで炭粉の中から模様が現れます。
紋紗の”紗”とは津軽地方でもみ殻という意味だそうです。
この技法は全国的に見ても独特な塗り方とされ、明治以降の作例も少なく一般製品としては見かけなくなりました。
錦塗(にしきぬり)
錦塗は黄色と朱色で市松模様にぼかし塗した七々子地に桜唐草、紗綾型を筆書きし、緑色の隈取りを添えて、錫粉を加えた朱漆を刷毛塗りして研ぎだすことでできます。
歴史は新しく、金や銀の蒔絵に憧れた庶民の想いから作られた技法です。
この4つの中で一番高度な技術を要し、作れる職人も限られる事と見た目の豪華さから希少価値は高いとされています。
津軽塗を体験できる施設
高度な技術を要する津軽塗ですが、誰でも津軽塗を体験できる施設もあります。
それが弘前市にある【津軽藩ねぷた村】です。
体験用に予め塗り重ねている漆を使って水研ぎし、津軽塗の箸・手鏡・スプーン・ぐい呑みなどを製作します。
最後の仕上げなどは職人が施してくれて、約3週間後に自宅に発送してくれるという体験プログラムになっています。
体験時間と料金は制作する物によっても違いますが、時間は1時間半ほどで1800円~となっています。
詳しくは津軽藩ねぷた村の民工芸制作体験のページをご覧ください。

アス・パム男
黒石市の津軽伝承工芸館でも津軽塗体験ができるそうです。
青森の伝統工芸:津軽塗に触れてみませんか?
青森を代表する伝統工芸の津軽塗の特徴や種類については、簡単ですが分かって頂けたかと思います。
日本らしい塗りを施した津軽塗は、日本国内のみならず海外でも人気となっています。
高度な技術で手間暇かけて作られた津軽塗を、大切な人へのプレゼントや贈答品にするのもオススメですよ。

UOTO
正直、伝統工芸の世界は奥が深すぎて言葉だけでは伝えられないです。
実際に津軽塗に触れてみてその良さを実感していただきたいと思います。
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