各都道府県には『県紙』と呼ばれる地元新聞社があります。
岩手県でいえば『岩手日報』、宮城県でいえば『河北新報』といった県内トップシェアを誇る新聞社のことです。
基本的に1県1紙という感じの県が多いですが、青森県では地元紙『東奥日報』と『デーリー東北』の2強体制となっています。
本社 :青森市
創刊 :1888年
発行部数:約212000部
購読料 :3400円(1か月)
資本金 :1億8000万
従業員 :300人
本社 :八戸市
創刊 :1945年
発行部数:約95000部
購読料 :2900円(1か月)
資本金 :7000万
従業員 :199人
これは全国的にも珍しいことらしいです。
青森県全域としては『東奥日報』、八戸市周辺は『デーリー東北』がよく読まれているそうで、「青森の地元新聞といえば?」と聞けば、地域によって回答が違ってきます。
みなさんの家庭では、『東奥日報』『デーリー東北』どっちの新聞を読んでいますか?
青森県内でのシェアを見てみる
読売新聞がまとめている『上位3紙朝刊販売部数・世帯普及率』では、東奥日報・デーリー東北のシェアは以下の通り。
1位:東奥日報 35.94%(212,921)
2位:デーリー東北 16.15%(95,710)
やはり青森県内では東奥日報のシェアが大きいことが分かります。
ですが、このデーリー東北のシェア率と販売部数はかなり健闘している数字です。

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隣県の岩手・秋田を例に挙げてみます。
1位:岩手日報 36.27%(191,015)
2位:読売新聞 7.73% (40,736)
秋田県内の新聞別シェア
1位:秋田魁新報 49.17%(209,366)
2位:読売新聞 6.14%(26,163)
他県では基本的に地元紙1社体制で、2位以降に読売新聞などの全国紙が割り込んでくるのが基本です。
しかし青森県や福島県、福井県・石川県などでは、上位2紙を地元紙が占拠しています。
これが何を意味するかは不明ですが、“地元愛”の表れではないかと勝手に想像しています。
なぜ2強体制になったのか?
そもそも青森県は、なぜ地元紙の2強体制になったのか気になりますよね。
まず全国的に1県1紙体制になった理由について話すと、戦時中の『新聞統制』ということが挙げられます。
元々地域密着の新聞社は多くあったそうです。
しかし1938~1941年までに行われた新聞統制によって、弱小紙と呼ばれる新聞社は続々と整理されていったのです。
東奥日報の歴史でも、戦時中の1941年に『八戸合同・弘前新聞・青森日報・東北タイムスの県内日刊紙を東奥日報に統合』と書かれていました。
その戦時中の名残で、ほとんどの県が今もなお1県1紙体制となっています。
戦争が終わり、全国各地で再び新聞社が立ち上がったわけですが、その中の一つが『デーリー東北』。
誕生しても1県1紙の名残と時代の流れで消えていく新聞社も多い中、デーリー東北は1945年の創刊から今もなお続いています。
やはりそれは同じ青森県でも文化・歴史・気候などが違う八戸地域(三八上北・岩手県北)を購読対象としていたからでしょう。
これが青森県の地元新聞2強体制になった理由です。
弘前市では『陸奥新報』という新聞社も・・・
実は青森県の新聞で面白いのが、地元紙は『東奥日報』『デーリー東北』だけではないということです。
それが『陸奥新報』と呼ばれる新聞社。
本社 :弘前市
創刊 :1946年
発行部数:約50000部
購読料 :3100円(1か月)
資本金 :1億7600万
従業員 :不明
弘前市周辺を基盤としている新聞社で、弘前市だけだとシェア率50%を超えます。
弘前市を含む津軽地域も歴史・文化・気候などが青森市や下北地域・南部地域とは違うので、地元密着という差別化を図っているみたいですね。
青森の地元新聞まとめ
青森県の新聞事情は本当に面白いですね。
「地元新聞と言えば?」と青森市の人に聞けば「東奥日報!」と答えるし、八戸市の人に聞けば「デーリー東北!」、弘前市の人に聞けば「陸奥新報!」と、同じ質問でも答えが違います。

UOTO
各紙を見比べると新聞社ごとに特徴があります。
→県内各地のニュースを集めている。私立高校の紹介では購読率が低い八戸地域の学校がないことも。
デーリー東北
→八戸を中心とした三八上北のニュースがメイン。岩手県北地域のニュースも取り扱っている。
陸奥新報
→弘前津軽地域のニュースが多い。テレビ欄ではめんこいテレビが載っていない。
これはもしかすると『津軽と南部』に分かれていた頃の名残も少なからずあるのかもしれません。
若者の新聞離れによって、年々新聞の発行部数が減ってきています。
全国に目を向けると、小さい新聞社が廃刊・休刊に追い込まれている現状も。
地元新聞は、家にいながら地元地域の話題を知ることができる朝の楽しみ。

UOTO
これからも地域に根付いた話題を取り上げ、各紙ともずっと残り続けて欲しいものです。
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